今日も逍遥館 ~ 京都大学吉田南総合図書館のブログ ~

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潜入ルポ「善の研究」グレート・ブックス読書会

こんにちは、逍遥館です。

 

さる2016年6月10日(金)、第10回目となるグレート・ブックス読書会が
開催されました。(事前のご案内はこちら

今回のタイトルは西田幾多郎『善の研究』。
西田の名前は「京都学派」の哲学者として、ご存じの方も多いでしょう。
その西田の代表作とも言われるのが『善の研究』ですが、なかなか難解な書物としても知られております。
一度は手を出してみたものの、途中で挫折した……という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

そんな『善の研究』に、なんと理系学生が果敢に挑みました。
理学部3回生の田中仁海さん、荒井駿さん、田中祥貴さん、工学部物理工3回生の森川健太郎さんの4人です。
自主ゼミとして、昨年から、集まって読み始めていたという彼ら。
昨年夏頃、このグレート・ブックス読書会のとある回で、コーディネーターの方に「西田の読書会をしているのでアドバイザーになってくださいませんか」とお願いしているのを小耳に挟んだ中の人、「これは!」と飛びついて、この読書会で、まとめを発表していただけるはこびとなりました!

 

それでは、さっそく彼らの発表スライドをご覧いただきましょう。
(力作です!)

当日は、このスライドを見つつ、『善の研究』を抜粋したテキストを読みながら、解説する形で進みました。

 

西田の言う「善」とは何か、「意志」とは、「純粋経験」とは、「統一作用」とは、「人格」とは何か……。


難解な言葉を読み解きながら、西田の考えを順を追って、論理的に、かつ具体例も交えて分かりやすく解説するみなさん。
なるほど、なんか少しだけ、西田の考えがわかった気がする……!

 

f:id:hymslib:20160623153517j:plainコーディネーターの解説に、真剣に聞き入る参加者のみなさん。

 

発表が終了した後は、質疑応答の時間。

 

「義賊アルセーヌ・ルパンの行為は善か?」「もし演奏者が理想の演奏をしていたとしても、聴いている人の中に音楽を聴いたら頭が痛くなる人がいたら、それは善と言えるのか?」などの問題提起がなされ、「ジャイアンのリサイタルは西田的に善たりえるのか?」という話題で議論は最高潮に!
次々と意見が飛び出し、時間が足りなくなるほどでした。
これぞ読書会の醍醐味ですね。

本業の学業もしつつ、哲学書に真正面からじっくり向き合ったコーディネーターの皆さん、きっと測り知れない大事な経験を得られたことと思います。

ん、この読書経験は、西田のいう「純粋経験」になるのだろうか、善と言えるのだろうか……。

この発表を聞いてから、何かにつけ、そんなことが頭をよぎるようになってしまった中の人でした。
これはぜひとも『善の研究』を自分の力で読んでみなければ!

 

さて、グレート・ブックス読書会は、どなたでも参加できますし、どなたでもコーディネーターになれます!
気になっている本を、みんなで一緒に読んで語りあうもよし、かの名著をわかりやすく解説するもよし。

条件は「当館のグレート・ブックスコーナーの図書を取り上げること」「1,2回生でも参加可能な入門読書会とすること」の2点だけ。

もし読書会をやってみたい!という方がおられたら、お気軽に吉田南総合図書館までご連絡くださいね♪
(詳しくはこちらのページをご参照ください)。

 

みなさんの「読みたい」を図書館はこれからも後押しします! (Y)

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