今日も逍遥館 ~ 京都大学吉田南総合図書館のブログ ~

京大吉田南総合図書館にまつわる日々の話をスタッフが気の向くまま紹介するブログです

修理担当者のカルテ~小冊子分裂症~

こんにちは。逍遥館です。


図書館の本は京都大学の大切な資産。
出来るだけ長く大切に役立てていきたいものですね。


が、しかし。


本だって老います。
そしてみなさんのお役に立とうと頑張れば頑張るほどに、みるみるボロボロになっていってしまうという現実があります。

どんなに大切にしていたって、壊れるときは壊れてしまう。
それは仕方のないことなのです。

そんな時は自分で治そうとせず、壊れた状態のまま図書館に連れて来てあげてください。図書館には修理担当者という名の「本のお医者さん」がいます。そこでは簡単な修理を施すことができます。適切な処置をしてあげることで、本としての寿命をぐんと伸ばしてあげることもできます。

そして修理用の糊が無事に乾くころには、また元気に書架を駆け回り、みなさんのもとへ出かけていくことが出来るのです。こんなタフでかわいい奴らの活躍を、病が奪ってはいけません。軽傷のうちに手当てです。


今日はこんな患者さんがいらっしゃいました。
かかりつけ医のスタッフによる診療開始です。

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病名「小冊子分裂症」。
針金綴じも併発しておられるとみました。

冊子がバラバラになってしまったのを、利用者さまがホッチキス止めして返却してくださったようです。本への愛は確かに感じるのですが、ホッチキスは劣化するとこんな風に茶色く変色し、腐食します。


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資料を痛めてしますのでNGです。あなたの愛は必ずしも相手のためになるとは限らないという…なんて切ない話。



①そういう訳で、針金綴じは早めにサクッと撲滅するに限ります。
f:id:dymslib:20140731164947j:plainコの字型にしてから引っこ抜く。



②目打ちでドスっといきます。(トドメを差しているのではありません)
f:id:dymslib:20140731165141j:plainぐはあぁ


③上・中央・下の三か所に穴をあけたら縫い物開始。
f:id:dymslib:20140731165223j:plain三つ目綴じといいます。


④どんどん縫います。先端恐怖症はしばし我慢。
f:id:dymslib:20140731165508j:plain製本用の針と糸でザクザク。


⑤中央でとめます。
f:id:dymslib:20140731165557j:plain糸を跨ぐように止めます。


⑥元の場所に帰してあげます。
f:id:dymslib:20140731165648j:plainやった!


自分で言うのもなんですが結構きれいに治してあげられました。
これにて無事に退院、めでたしめでたし。

このように本は症状にあわせた適切な処置をすれば、長く保存をすることができ、またそれ以上の破損を防ぐこともできます。
人間と同じです。単なる風邪なのにタミフルを飲んだら危険です。

もし借りている図書館の本の様子がちょっとおかしいな…と思ったら。
返却の際に図書館カウンターの方まで、お知らせくださいませ。


壊れたアイツ、治してみせます。(K)

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