こんにちは。逍遥館です。
図書館の本は京都大学の大切な資産。
出来るだけ長く大切に役立てていきたいものですね。
が、しかし。
本だって老います。
そしてみなさんのお役に立とうと頑張れば頑張るほどに、みるみるボロボロになっていってしまうという現実があります。
どんなに大切にしていたって、壊れるときは壊れてしまう。
それは仕方のないことなのです。
そんな時は自分で治そうとせず、壊れた状態のまま図書館に連れて来てあげてください。図書館には修理担当者という名の「本のお医者さん」がいます。そこでは簡単な修理を施すことができます。適切な処置をしてあげることで、本としての寿命をぐんと伸ばしてあげることもできます。
そして修理用の糊が無事に乾くころには、また元気に書架を駆け回り、みなさんのもとへ出かけていくことが出来るのです。こんなタフでかわいい奴らの活躍を、病が奪ってはいけません。軽傷のうちに手当てです。
今日はこんな患者さんがいらっしゃいました。
かかりつけ医のスタッフによる診療開始です。
病名「小冊子分裂症」。
針金綴じも併発しておられるとみました。
冊子がバラバラになってしまったのを、利用者さまがホッチキス止めして返却してくださったようです。本への愛は確かに感じるのですが、ホッチキスは劣化するとこんな風に茶色く変色し、腐食します。
資料を痛めてしますのでNGです。あなたの愛は必ずしも相手のためになるとは限らないという…なんて切ない話。
①そういう訳で、針金綴じは早めにサクッと撲滅するに限ります。
コの字型にしてから引っこ抜く。
②目打ちでドスっといきます。(トドメを差しているのではありません)
ぐはあぁ
③上・中央・下の三か所に穴をあけたら縫い物開始。
三つ目綴じといいます。
④どんどん縫います。先端恐怖症はしばし我慢。
製本用の針と糸でザクザク。
⑤中央でとめます。
糸を跨ぐように止めます。
⑥元の場所に帰してあげます。
やった!
自分で言うのもなんですが結構きれいに治してあげられました。
これにて無事に退院、めでたしめでたし。
このように本は症状にあわせた適切な処置をすれば、長く保存をすることができ、またそれ以上の破損を防ぐこともできます。
人間と同じです。単なる風邪なのにタミフルを飲んだら危険です。
もし借りている図書館の本の様子がちょっとおかしいな…と思ったら。
返却の際に図書館カウンターの方まで、お知らせくださいませ。
壊れたアイツ、治してみせます。(K)