こんにちは!逍遥館です。
今回は、2014年10月発行のLibrary Newsletterに掲載した特集記事「日本文学の旅in米国」のExtended Version(完全版)をご紹介します。登場人物は、人間・環境学研究科博士課程3回生の澤西祐典さん。今年の3月から4月の1か月間、「ジョン万プログラム」*1で、アメリカのプリンストン大学に留学されていました。澤西さんの研究テーマは、「日本近代文学・芥川龍之介の海外文学受容」。1か月という短い期間にもかかわらず、日本近代文学と外国の関わりについて、様々な発見があった様子でした。作家*2として、また日本近代文学研究者としての彼に、アメリカは何をもたらしたのでしょうか。
紙面では、抜粋版として掲載しましたが、インタビュー時に聞いたことは他にもいろいろあります。お伝えできなかった残りの部分を含め、3回に分けてお伝えしていきます。ご期待ください!
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なぜ、留学をしようと思ったのですか?
指導教員に勧められて、というのが率直な理由です。以前から語学の研修を兼ねて海外留学に行きたいなと思っていましたが、専門分野が日本文学であり、日本語で小説を書いているので、留学の機会にはなかなか恵まれませんでした。しかし、今回の募集はアジア文化圏を専門とする学生が対象だったので、(スケジュール的な問題を除けば)断る理由もなく、行けるのなら行ってみようと思いました。
留学先では、どのようなことを研究されたのですか?
現在の研究テーマが「芥川龍之介の作品と海外文学との関わり」で、芥川が当時英語で読んでいた洋書を彼がどのように創作に活かしたのかを研究しています。芥川は日本近代文学の作家の中でも研究が進んでいる作家なのですが、海外文学との関わりについては、基本的に日本語訳がある文献を中心に研究されているため、現時点で日本語訳のない文献については、研究が遅れています。そこをやりたいなと。大事な所の注釈がぽっかり空いているので、その部分を埋めていく感じですね。アメリカでは、このことについて、いろいろ情報収集を心がけました。
渡航前に何か準備をしましたか?
渡航予定の3週間くらい前に留学しようと決断したので、そこからはビザの取得等で振り回されながらバタバタと準備をしていました(実際の出発は予定より10日遅れました)。
他に準備したことは、芥川が読んだ洋書でプリンストン大学にあるものは何かというのを調べていきました。
また、研究内容について英語で説明していけるようにもしました。向こう(留学先)で野放しにされると思っていたので、やりたいことはきちんと伝えられるようにしておかなければと思って。それから、僕は現在作家活動もしているので、作家として会いたい人や見ておきたいもの(フィッツジェラルドの生原稿や作家の朗読会等)をピックアップし、整理して行きました。
事前にこうしておくべきだったということがあれば教えてください。
ipadを買っていったのですが、とても役立ちました。大体の喫茶店、ホテル、レストラン、もちろん学内でも、wifiが飛んでいて、無料で利用することができました。インターネットの環境が充実していて、日本よりもずっと使い勝手が良かったです。しておけばよかったことは、教授陣の顔を事前にもっと詳しく確認しておくべきだったことです。
日本近代文学関係の先生については事前に調べていったのですが、他の専攻の先生方のリサーチもしておくべきでした。というのも、受け入れ先の方がとても親切で、行く前には野放しにされると思っていたのですが、実際はできるだけ僕達の滞在を充実したものにしようと色々と助けてくれました。なので、それに乗っかれるようにもっと事前に情報収集すべきだったと思います。「こういうことに興味をもっているんだけど、誰か先生はいないか」ではなく「○○先生に会いたい」と言うほうが、連絡が取れる可能性が上がりますから。
他にも、プリンストン大学では、ウェブで大学院生の情報を見ることができ、院生が何をやっているのかも事前に知ることができたのですが、その中の一人が芥川賞作家の円城塔さんの翻訳をやっていることを現地で知ったというのがあります。帰国の1週間ほど前に会って意見を交わすことができましたが、事前に知っていればもっと話せたのに、と残念でした。
↑ プリンストン大学
今回はここまで、次回Part 2 では世界に名だたる名門校、プリンストン大学について迫ります。乞うご期待!
※当館から(ほぼ)毎月発行している「Library Newsletter」はご存知でしょうか?利用者の方に速報性のあるニュースや利用案内をお知らせするために発行している情報誌です。このNewsletter、通常はA4サイズ裏表なのですが、約4半期に一度「特集号」としてA3サイズに拡張し、学生の方からの生の声を通して発信していくことを目的として、大学生活についての様々な情報を掲載しています。是非手にとってみてください!今回の記事、日本文学の旅in米国の抜粋版は、2014年度第5号に掲載してあります。(Library Newsletter の最新号は、当館カウンターやエントランス、吉田ショップ等においています。バックナンバーについても、当館ウェブサイトからダウンロード可能です)