こんにちは。逍遥館です。
吉田南総合図書館(逍遥館)ではグレート・ブックスの中から自分にとってのこの1冊を選んで紹介する会、「グレートブックスと私」を開催しましたよ。
<10月23日(木)> グレート・ブックスと私「子規になりきる!百万遍句会」
コーディネーターは佐々木幸喜先生と俳人の佐藤文香さんです。佐々木先生と旧知の中である佐藤文香さんは数々の賞を取られた新進気鋭の俳人です*1。そんな松山にゆかりのある二人がグレートブックスの中から「正岡子規」を選んで発表してくださいました。
現在アジア研究教育ユニット[国際交流センター]に勤務されている佐々木先生のご専門は、近現代日本文学・日本語日本文化教育。佐々木先生は俳句の歴史について発表しつつ、のぼさん(正岡子規)に関係のある資料として第三高等学校(旧制第三高等学校)の資料も紹介くださいました。紹介いただいたのは「壬辰会雑誌」、第三高等中学校(のちの旧制第三高等学校)の校友会誌です。
11月の号をちょっとみてみましょう(第17号 明治26年11月30日発行)
正岡子規を師とあおぐ学生、高浜虚子と河東碧梧桐の二人が句を寄稿していますねぇ。
吉田南総合図書館はこの4月に名称を変えたところですが、それまでの歴史をみてみると第三高等学校の流れをくんでいるのがわかります。
明治30年(1897年)第三高等学校図書館
昭和24年(1949年)京都大学分校図書室
昭和36年(1961年)教養部図書室
昭和48年(1973年)教養部図書館
平成 3年(1991年)人間・環境学研究科図書室
平成 4年(1992年)総合人間学部図書館
平成15年(2003年)人間・環境学研究科総合人間学部図書館
平成26年(2014年4月)吉田南総合図書館
愛称の「逍遥館」も逍遥の歌から来ていますしね*2。こうした第三高等学校の資料は当館独自の貴重な資料でもありますが、最近になって整理*3が進み、みなさんにも利用していただけるようになりました。多くの資料は貸出ができますが、請求記号(背ラベル)に「091」のついた資料は貸出ができません。一時的な持ち出しのみの制限が付いた資料となります(閲覧や複写の利用は可能です)。興味のある方はよかったらこの吉田南総合図書館には欠かせない第三高等学校の資料群もご利用ください。
さて、佐々木先生のお話のあとは、佐藤さんによる「借り物句会」です。当日の様子は参加者として会に参加したスタッフの潜入ルポをぜひぜひご覧ください。どんな会だったかは、みなさんにいただいたアンケートの自由記述からもひしひし伝わってきます。
大変よかったです。また京都きてください。(工6回生)
すばらしいguestをおよびになられましたね。すごいです。俳句もおもしろなと思いま
した。(総人1回生)
句会の疑似体験ができている感じがすごくて、楽しかったです。 (総人2回生)
俳句に触れて感性をみがきたいと思いました。 (人環博士)
あやかさんの明るくクリアな進行がgood!!(文修士)
575の短い文章の中に、人によって色んな想像をふくらませる事ができるということに感動しました。 (職員)
初心者が楽しめる内容でした。(職員)
借り物句会おもしろかったです!(学外者)
今回は参加者16名のうち、卒業生が1名、職員が3名、学外の方が4名となりました。佐藤文香さんに会いたくて参加してくださった方も多かったようです。打ち合わせのために事前にお会いしたそのときから、かいらしさ(かわいらしさ)、媚のない率直な言葉、そして佐々木先生との掛け合いの面白さに私もメロメロ。多くの人に佐藤文香さんの句会に参加してもらいたいとの思いを強く持ちました。当館にもご著書「海藻標本」を所蔵しましたので、もしよかったらみなさんも手に取ってみてください。近々第2句集も出版されるそうですよ。ますますのご活躍をお祈りしています!
吉田南総合図書館(逍遥館)では今後もグレート・ブックスを使った読書会を開く予定です。どうぞお気軽にお問合せください。
次回の「グレート・ブックス読書会」や「グレート・ブックスと私」は12月もしくは1月に予定しています。日も短くなり、ずいぶん冷えるようになりましたね。みなさん風邪などひかぬようお気を付けください。寒からう痒からう人に逢ひたからう 正岡子規(C)
*1:2006年、第2回芝不器男俳句新人賞対馬康子奨励賞受賞。09年、第1句集『海藻標本』により宗左近俳句大賞受賞(ふらんす堂)
*2:当館ブログ「愛称は、逍遥館なの。」2014年7月16日
*3:このことを図書館では「遡及入力」といいます。カード目録時代の資料を検索できるようにOPAC(オンライン蔵書目録。京大ではKULINEですね。)にデータを登録することです。OPACで公開することで資料利用の促進にもつながります。