こんにちは。逍遥館です。
寒さも和らぎ、暦も春。出会いと別れの季節、いかがおすごしですか?
「2014年に買って良かったものまとめ。」に続き、二度目の登場になります。
当館の御用聞き(物品管理・発注担当)です。
当館ではこの春もスタッフの異動があり、仕事の引き継ぎや担当業務の変更などの調整、春(という名の新入生)を迎える準備で慌ただしくしております。
実は御用聞きも世代交代となりまして。担当業務をリスト化し、ほかの誰かに引き継いでいたのですが、その過程でふと気が付いたこと。
「ブックスタンドのアレって……そういえば私しか出来ないわ……」
ものすごく地味なのですが若干難しく、でも引き継がなければならないもの。
「アレ」を発見してしまったのです。
これです。
当館名物、POP展示を文字通り支えている針金製スタンド。市販のものでは手頃なものがなかったので、閲覧担当さんの要望に応じて、私が全て手作りしていたのです。そういえば、自分しか作れなかった……これではいかん。
単に作り方マニュアルを残すだけでもよかったのですが、「吉田南総合図書館の御用聞きはこんなこともしてるんだぞ!」ということをPRするためにも、ブログに置き土産をしていこうかと思います(ついでに、「ワイヤーでPOPスタンド作りたい」という、もはやあるのかわからないニーズにも応えられたら)。
では早速。
閲覧担当スタッフに引き継ぎという名の「針金実習」を行いながら、お送りします。
写真のせいで記事が長くなっておりますがご了承ください。
1.何故か物品ロッカーにあった用途不明の針金と、ペンチ(…ニッパー?)を用意する
実際の大きさが分かりやすいように、今回はカット板の上で作業します。マネして作りたい方は参考にしてください。まずは針金を長めに引っ張りだします。必要な長さは分からないので、はじめから切ったりはしません。
2.茎の長さを決め、中央の花弁を作る
右は完成品です。まず、茎の部分の長さをとって、中央の花弁を作ります。
近寄るとこんな感じ。花弁の形をイメージして指できゅっきゅと造形して、茎に引っ掛けて、
ぎゅっと一回転。結び目に隙間は作らない。花弁の部分を手にもって回しながら手で一結びしたあと、ペンチで茎と結び目の間の隙間を埋める。この時、茎が曲がらないように。基本的にはこの作業の繰り返し。本日の針金実習生のふたり曰く、「この”基本作業”が難しい」だそうです。
3.二層目の花弁を作る
右利きさんの場合、左手で花の部分をもって回しながら、茎に対して針金が垂直になるように、前に作った結び目との間に隙間が出来ないように、巻き付けていく。力がいりますが、茎には力を加えないよう注意。
寄るとこんな感じ。不安になって2回も3回も巻き付けると不細工になるので注意。
3.三層目の花弁を作る
これもいつもの基本作業。花弁の形をとって、
くぃっと、茎に引っ掛け、(茎に変な力を加えないように注意、曲がります)
手で一結びしたあとに、ペンチでぎゅっとして、茎と結び目の間の隙間を埋める。
うーん、長さこんなもんかなあ……。
バチンと切って、左手で花の部分を回しながら、ペンチで隙間なく巻いていく。
これが裏面。隙間なくぎゅっと巻くとガクのようになっていい感じ。
表面。解説しやすいように写真を加工しました。1から順番に花弁を三層に重ねます。カードを支えるのは○の部分。黄はピタッとくっつける。白は下へ押し込む、赤は上へぐいっとするといい感じに。
前述の通り、指でむにむにと整形する。
POPを差してひっくり返し、軽く振ってもズレなければ及第点。茎もまっすぐでいい仕上がりです。
4.根っこを作る
花の部分と垂直になるように、先をつまみます。
茎をペンチの先に手で巻きつけます。一回転!
先がとがっていて危ないのと、後で解説しますが「回転止め」です。
5.貼る
白い養生テープでブックスタンドの裏面に貼ります。根の部分があることによって、頭が重くなっても回転せずに、常に利用者さまの方を向いていられる。この根の部分がないと……それはもう風を受ける度にぐるんぐるん回転してそっぽを向きます。養生テープで貼るとかなんとも貧乏くさい……とも思いますが、裏面は見えないから大丈夫(と、信じたい)。
6.好きなPOPを差して楽しむ。
手に持って、最近気になるあの人に向かって振るのもいいですが、
やはりブックスタンドとのコンビ技がおすすめ。ちょっと変形させて下につけるのもありですね!
「ここまで読んだけど、マネできないよ……」という方には真ん中の双葉はいかがでしょう(ぐるぐる巻いて二つの円を作るだけ)。「こんなのよゆーだぜ」という方には、鳥を。
表から見ると鳥ですが、
裏から見るとハートに!素敵ですが、作るのは難しいです。どれくらい難しいかというと、作った本人であるはずの自分ですら、同じものをもう一つ作れなかったくらい(だめじゃん)。
吉田南総合図書館の「御用聞き」として、日々お買い物(と針金工作)に勤しんでいましたが、卒業することになりました。引き継ぎに追われながらも、御贔屓にしてくださった利用者さま、ひとりひとりを思い出しています。
私自身は春から違うところでお仕事をすることになりましたが、図書館自体はこれからも吉田南構内でみなさんをサポートし続けます。どうぞご利用くださいね。
春からご身分の変わられる方も多いかと思いますが、
各自の持ち場で奮闘しましょう。
最後までお読みいただき、今日もありがとうございました。
(K、こと「御用聞き」、もしくは「黒板娘」)